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スウェーデン滞在記(4)

3月18日
 午前中はLilla akademien で練習。午後は、国立音楽図書館 Statens Musikbibliotekでステーンハンマルの自筆譜を見せてもらいました。
 ステーンハンマル友の会 の演奏会準備の為に度々、コピー譜などの取り寄せをお願いしていた図書館。メールだけのやりとりをしていたスタッフと初対面でお互い大喜び。これからは、相手の顔を思い浮かべながらメールのやりとりができます。
 さて、いよいよ感動のステーンハンマルの自筆譜との対面です。どのように見せていただけるのだろう・・と思っていたら、渡されたのは、厚紙のファイルに直接そのまま入った譜面そのもの!「こんな簡単な保存方法で良いのだろうか?」と思いつつ、おそ〜るおそる、紙が破れないようにファイルから取り出しました。
 今回、見せていただいたものは
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●「晩夏の夜 Sensommarnätter 作品33」より、第1曲と第2曲の鉛筆スケッチ
●「Allegretto grazios」 と 「Poco vivace, dolce e con molto grazia」(「晩夏の夜 Sensommarnätter 作品33」に入れる可能性があった2曲。実際は、この2曲は抜かされた全5曲で出版された) のペン書きの自筆譜
●「ピアノ協奏曲 第2番 作品23」の鉛筆スケッチ
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「晩夏の夜」と「ピアノ協奏曲」の鉛筆スケッチは、曲のほんの一部でした。(ピアノ協奏曲は第4楽章の冒頭スコア)しかし、実際に出版されたものは、そこから、さらに音が加えられていたり、または、逆に簡素化されていたり。彼がどういうイメージで曲を作りはじめ、最終的にどういう響きの方向を探っていったのかを想像できる、たいへん貴重な体験でした。
「Allegretto grazios」 と 「Poco vivace, dolce e con molto grazia」は、ちゃんとペンで清書されていて(たいへん見やすい、とても綺麗な楽譜でした)、出版されなかったものの、曲を書き上げた時点では、ステーンハンマルが作品を「完成させよう」としたことが伺われます。

 ステーンハンマルなど、スウェーデンのこの時代の作曲家の楽譜を見ていてよく思うことに、楽譜の指遣いやスラー等は、作曲家自身のものなのか、そうでないのか、ということです。ベートーヴェンやショパン、といった所謂「有名」な作曲家の作品というのは、「原典版」と言われる作曲家の意図に忠実な楽譜と、「学習版」ともいえる、校定者が校定を施した楽譜との区別がはっきりしています。もちろん、存命でない作曲家の作品の場合、何が本当に作曲家の意志か、というのは100%の保証はありませんが、様々な研究を重ねて、日々新しい発見も出て来ています。ものよっては、複数の「原典版」楽譜のエディション比較もでき、出版された複数の情報から、演奏者が真意を推測&選択することも可能です。その点、ステーンハンマルたちの楽譜は、その辺りが明確に表示されておらず、数少ない楽譜情報を「鵜呑み」にせざるをえません。
 今回、ステーンハンマルの自筆譜を見せていただいたのも、ひょっとすると、それを見ると、その辺りのことが解決できるのではないか、と思われたからです。しかし、残念なことに、「晩夏の夜」「ピアノ協奏曲」は部分的なスケッチの段階のもの。「Allegretto grazios」 と 「Poco vivace, dolce e con molto grazia」は、出版譜がないため、出版譜との比較はできません。

 今回、自筆譜を見せていただくにあたり、事前に日本からメールでやりとりをさせていただいた、貴重コレクション担当のライブラリアン Kia Hedell さんが、わざわざ挨拶に来て下さいました。彼女は、音楽学を専門とされている方なので、上記のことについて、なにかご意見があるか質問してみました。Hedellさんによると、スウェーデンは小さな国 -という表現をされていました- なので、確実なことが分るほど、情報が残っていないのが現状である、とのことでした。ただ、彼女は楽譜出版社でお仕事されていたこともあるそうで、その時の印象だと、ステーンハンマルの時代、北欧の作曲家は出版社との繋がりが非常に濃かったので、彼らが存命中に初版された楽譜は、作曲家自身の意図が現れていると思って良いのではないか、とお話し下さいました。ステーンハンマルの場合は、自身がピアニストであったことから考えても、指遣いは本人の指示であったと思われますが、これは、あくまで、彼女自身の個人的印象で、100%保証できるものではない、と念を押されました。ですので、できるだけ作曲家の意図を汲みたいと思ったら、作曲家が生きていた時代に、北欧、またはものによってはドイツの出版社から出版された初版の楽譜を見てみるしかないのが現状、とのことでした。

 他にも、ステーンハンマル のことを調べるなら、全3巻からなる Bo Wallner の「ステーンハンマルと彼の時代 Stenhammar och hans tid」が一番良いけれど、こちらの本はおそらく絶版になっているので、見つけるとしたら、古本屋さんでないと不可能だろう、というお話も伺いました。突然の日本からのメールにもたいへん暖かく応じて下さり、こちらの質問にもご丁寧にお答え下さった Kia Hedellさんには、本当に感謝致します。これからも、当会では、こちらの図書館の方々にはご協力をお願いすることになると思うのですが、実際にお会いしてお話できたのは、たいへん嬉しかったです。

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