代表のTwitter


Twitter på svenska

記事関連のおすすめ

« スウェーデン滞在記(13)-1 | トップページ | スウェーデン滞在記・番外編 »

スウェーデン滞在記(13)-2

3月27日(その2)
 さて、ヴィルヘルム様のストークはひとまず終了。前日に教えてもらった、楽譜屋さんへ。ストックホルムにただ一つの楽譜屋さん、と言われるアウロスAulos は、セーデルマルム島にあります。ヨーテボリのProcuraと同じく、やはり、作曲家の名前のアルファベット順に整理してあるものの、楽譜は横積み。しかも、こちらの楽譜屋さんは、ちょうど見やすい位置にはポピュラー系、ジャズ系の楽譜を並べてあり、クラシック系のほとんどは、足下と、脚立を使わなくては手が届かない高い位置に置いてあります。その上、本棚が壊れそうで(手作りらしく、棚のサイズが微妙に合っていない)、見にくい+楽譜を壊しそう(?)でまるで宝探しの気分。楽譜をかかえてレジに向かうと、店員さんに「Did you enjoy?」と言われました・・・(いや、エンジョイというか、苦労しました。)スウェーデンの首都にただ一つの楽譜屋さんと言っても、はっきり言って、お目当ての楽譜を定めてお店に行くと、おそらくがっかりすると思いますが、目的を決めずに物色するのであれば、日本ではまとめて手に入れることは難しいと思われるスウェーデン作曲家の楽譜を見つけることができます。今回は、弦楽器作品を中心に、ペッテション=ベリエルのバイオリンソナタや、ステーンハンマルの弦楽四重奏曲第2番、第3番などを購入することができました。
 
 この日は、12年前、初めてストックホルムにスウェーデン音楽の楽譜探しに訪れた際、国立音楽図書館で知り合ったビルさんとランチのお約束がありました。ビルさんは、現在は既に定年退職をされていますが、これまでも、当会のコンサートの為の楽譜を送って下さったり、いろいろお世話になっている方です。約束の場所へ行くと、ビルさんは、スウェーデンの音楽事情の話を聞けるのでは、とご友人の音楽評論家 ビルギッタ・フルトさんも誘って来て下さっていました。フルトさんは、音楽評論をお書きになる他、コンサートの前にプログラム解説トークをされたり、KVAH - Kammarmusikens vänner i Allhegonakyrkan (室内楽友の会・・という感じでしょうか)というコンサート企画の委員もされています。
 実は、私もウェブサイトでKVAHは見ていて、たいへん興味を持っていたため、お話を聞くことができ、本当に幸運でした。こちらのコンサートは、音楽監督をベングト・フォシュベリBengt Forsberg(日本では、メゾのオッターのピアニストとして知られています)が務めています。伺ったところによると、運営委員のほとんどは、音楽と全く関係のない仕事をしている音楽愛好家たち。フォシュベリ氏には、演奏はもちろん、演奏会内容企画、そして出演する演奏家の紹介をやってもらっているものの、実際の運営の作業自体は、演奏家には一切してもらっていない、とのことでした。基本的に月一回のコンサートで、夏のフェスティバルもあります。会場は、教会にお願いして無料で使わせてもらえるようにできたそうです。フォシュベリ氏は自身の膨大な知識からのアドバイスをされると同時に、委員たちの意見にも耳を傾け、ご自分の利益とは一切関係のない立場で芸術監督を引き受けていらっしゃり、その結果、良いコンサートシリーズができているそうです。内容を充実させるよう努力しているので、出演者たちも出演料が安くても快く演奏をしてくれる、とおっしゃっていました。(と言っても、具体的に伺ったところ、この規模の演奏会としては、出演料は日本の相場と比べると決して安くはありませんでした。)ジョイントのコンサートで若手演奏家に出演をしてもらい、たいへん良い演奏をしてくれたので、次回はリサイタルを、ともちかけることもあるそうです。残念ながら、私の滞在中は予定が合わず、こちらのコンサートシリーズを聴くことができなかったのですが、ウェブサイトなどで内容を見るかぎり、プログラム内容も充実し、出演者たちのレヴェルもかなり高いことが想像される演奏会シリーズ。規模的に、当会にとって、たいへん参考になる演奏会組織だと思います。

 他にも、フルトさんが音楽評論を書いていらっしゃる媒体についてお聞きしましたが、スウェーデンでも、新聞のクラシック音楽に関する記事のスペースは少なくなり、クラシックの音楽評論記事を載せる媒体というのは減って来ているのが現状だそうです。また、スウェーデンでは政権が替わり、国のコンサート・マネージメント機関である Rikskonserter をなくす方針になってしまったそうです。こちらの機関は、クラシックはじめ、様々なジャンルの音楽家の国内ツアー、そしてスウェーデン国内の音楽家の海外ツアーの企画をし、たいへんな成果を上げていたはずが、今後は、こうした文化活動は地方がそれぞれでやる方針となったようで、フルトさんはとても残念だ、とおっしゃっていました。(実は、ヨーテボリで聴いたブロドスキー弦楽四重奏団の演奏会も、Rikskonserter によるツアーの一環でした。)私も、特定のジャンルに偏らない、音楽文化を全体的に捉えた形でコンサート企画をし、Nybrokajen 11というホールも所有、CDレーベル Caprice とも連係した事業を国がやっている、というRikskonsert の活動にたいへん興味を持っていて、今回、こちらの活動についても詳しく知りたいと考えていたため、無くす方針と聞いて、たいへんなショックでした。

さて、こうして思いがけずたいへん有意義なお話しを聞きながらのランチが終わり、まだまだこの日は続くのですが・・・長くなりましたので、続きはまた次の記事で。

« スウェーデン滞在記(13)-1 | トップページ | スウェーデン滞在記・番外編 »

スウェーデン滞在記」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

前回のコメントで触れた中古レコード店ですが、セーデルマルム島地区にも密集している地域があって、回ってみましたが、半分くらいは夏休み中でがっかり。きっと音楽関係の店が軒を連ねている地区なのではないかと思います。
ヘルシンキでもそうですが、北欧の個人経営の店は観光客に合わせて商売をすることよりも自分たちの休暇を最優先しますから、夏の観光シーズン真っ最中にclosedの憂き目に何度も合っています(ρ_;)。
店員さんのDid you enjoy?っていう言葉には、きっと本来の意味以外の「きっと探すの大変だったと思うけどちょっと面白かったでしょ?」的なニュアンスが含まれていそうな気がします。
お目当ての楽譜を探すのは大変、というのはレコード探しも同じ感じです。見つかることもありますが、思いがけないものを発見したり、時には店のお客さんから紹介してもらったりなんていう楽しみがあります。
ヘルシンキでは、「北欧の曲のレコードを探している」と言ったら、店主が、このお客さんに訊いてみたら、と言って紹介された方が、ノルウェーの合唱団の珍しいノルダーク他の合唱曲のシングル盤を見つけてくれました(o^-^o)

>高橋様
そうですか。セーデルマルム島には中古レコード店も多いのですね。次回はちょっと歩き回ってみます。ありがとうございますhappy01
 楽譜探しは・・・私にとっては仕事での必需品なので、本当にこれ、切実なんです。楽しんでいる場合でない、というのが本音でしてcrying「欲しい物」でなく、「必要な物」優先で限られた経費の中でやりくりしなくてはいけないので、掘り出し物目当ての放浪だけでは、なかなか難しいです。
 必要な時に楽譜が簡単に手に入る、という意味では、日本は本当に便利な国ですよね。(詳しくありませんが、きっとCDもそうですよね?)ローマ留学中は、フォーレの楽譜でさえ、手に入れるのに苦労し、面倒なので、結局日本から送ってもらった経験もあります。パリは、ローマよりはましでしたが、それでも、日本に比べると不便が多く、学生たちはコンクールの課題曲の楽譜を手に入れるのさえ、苦労する時も。(有名な国際コンクールで賞をとっている方達も、こんな状況で準備していたりするのです。)楽譜入手だけにお金も沢山かけられないので、仕方なく、かなり如何わしい(?)エディションで勉強している学生もいました。日本のように、学生でも様々な作曲家の作品が様々なエディションですぐに手に入ってしまう状況は本当に恵まれているので、幸運に感謝しつつ、物を大切にして真摯に取り組まねば、と・・・欧州から帰ってくると実感します。

 それにしても、そうやってお店で見知らぬ人とのコミュニケーションがとれる・・・旅の醍醐味ですよね!

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« スウェーデン滞在記(13)-1 | トップページ | スウェーデン滞在記・番外編 »

2015年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ